戦闘に参加した女性達は褒賞されるが正式の戦利品の分け前は受けないこと、
また敵の子供を殺害してはならぬこと
2巻 P.862-865
ヤズィード・ビン・フルムズは次のように伝えている
ナジュダが五つの事項について尋ねるために手紙を書いた。
それでイブン・アッバースはこういった。
もし私が知識を隠す罪を恐れなければ私は彼に何も書かなかっただろう。
さてナジュダはイブン・アッバースに次のように書いてきた。
(挨拶の後)、次の事を私に教えて下さい。
アッラーの使徒は女性達と一緒に戦いに出ましたか?
(もしそうであれば)彼は彼女達に戦利品を分け前として割り当てましたか?
彼は敵の子供を殺しましたか?
何歳になるまで孤児としての待遇を受ける権利がありますか?
フムス(戦利品の五分の一)は誰のものですか?
そこでイブン・アッバースは彼に次のように書いて返事をした。
あなたはアッラーの使徒が女性達と一緒に戦いに出ましたかと尋ねるために私に手紙を書いてきましたが彼は彼女達と一緒に戦いに出ました。
彼女達は怪我人を手当していました。そして戦利品の中から褒賞の品を与えられました。
しかし正式な分け前は彼女達には割り当てられませんでした。
またアッラーの使徒は決して敵の子供達を殺すようなことはしませんでした。
だからあなたも決して敵の子供を殺してはなりません。
またあなたは何歳になるまで孤児としての待遇を受ける権利がありますかと尋ねるために私に手紙を書いてきましたが
私の人生にかけてそれ(孤児)はもし彼の顎髭が生えてもまだ彼自身に得るべきものを得ることかできず
また他人に与えるべきものを与えることができない者です。
しかしもし彼が人々が得る物を自分自身のために得ることができたなら彼の孤児としての権利はなくなります。
またあなたはフムスは誰のためですかと尋ねるために私に手紙を書いてきましたが
私達(ハーシム家の人々)は「それは私達のためのものである」といってきました。
しかしあの人々(ウマイヤ家の人々)は私達にそれを認めません。
同様のハディースがヤズィード・ビン・フルムズによって別の伝承者経路を経て伝えられている。
しかし以下の部分に表現上の違いがある。
「決してアッラーの使徒は子供達を殺すことはなかった。
だからあなたも決して子供達を殺してはならない。
しかしもしあなたがハディル(注1)が殺した子供について彼が知っていたことをあなたが知っていたならばそれは例外である(注2)」
ところでハーティムは次の一文を加えている。
「あなたは(子供がいずれ)信者になるか否かを見極め、多神教徒になる者は殺し信者になるであろう子供は解放しなさい」
(注1)伝説上の聖者、預言者とも使徒とも聖者ともいわれている
(注2)彼が子供を殺したのはアッラーの命によるもの即ち彼にはその子が成長して多神教徒になることがあらかじめ解っていたの意
ヤズィード・ビン・フルムズは次のように伝えている
ナジュダ・ビン・アーミル・ハルーリーは以下の事について尋ねるためにイブン・アッバースに手紙を書いた。
それは戦利品を得るためにやって来た奴隷と女性に分配してもよいかどうかについて、また(敵の)子供達の殺害について、
また孤児はいつ孤児としての権利を断たれるか、また(預言者の)親族は誰かについて、であった。
それで彼(イブン・アッバース)はヤズィードに次のようにいった。
彼に手紙を書きなさい。
もし彼が愚かな行為をしそうもなければ私は彼に手紙を書くこともないのだが、次のように書きなさい。
あなたは戦利品を得るためにやって来た奴隷と女性に何か分配してもよいかどうかについて私に尋ねるために手紙を書きましたが
二人には何も正式に分配されるものはありません。
しかし二人には褒賞の品として何かが与えられます。
また(敵の)子供達の殺害についてあなたは私に尋ねるために手紙を書きましたが
アッラーの使徒は彼らを殺しませんでした。
ですからあなたも彼らを殺してはなりません。
しかしあなたがモーゼの同伴者(ハディル)が殺した子供について彼が知っていたことを知ったならば(そのケースは)別です。
また孤児はいつ孤児としての権利が断たれるかについてあなたは私に尋ねるために手紙を書きましたが
それは彼が成人して精神的確立が彼に見られるまで彼から孤児としての権利は断たれません。
また(預言者の)親族は誰かについてあなたは私に尋ねるために手紙を書きましたが、私達は私達こそそれであると考えています(注1)。
しかし人々は私達に対してそのこと(注2)を認めません。
(注1)具体的には預言者の娘婿アリーの子孫と叔父のアッバースの子孫
(注2)預言者の親族という地位とそれに付随する特権と恩点など。
時にカリフ職やフムスに関する遺産相続などについては対立がある
同様のハディースがヤズィード・ビン・フルムズによって別の伝承者経路を経て伝えられている。
ヤズィード・ビン・フルムズは次のように伝えている
ナジュダ・ビン・アーミルはイブン・アッバースに手紙を書いた。
私(ヤズィード)はイブン・アッバースが彼の手紙を読んでいるときもまた彼への返事を書いているときも彼のそばにいた。
そのときイブン・アッバースは次のようにいった。
彼(ナジュダ)が過ちを犯すことを予防しようとする気が私(イブン・アッバース)になければ私は彼には手紙を書かないでしょう。
これ(書くこと)は実に楽しい事ではない。
こうして彼は次のように手紙を書いた。
アッラーが述べた(預言者の)親族の(戦利品の)分け前の割合についてそれは誰であるかとあなたは尋ねたが
私達はアッラーの使徒の親族は私達であると考えています。
しかし人々は私達に対してそのことを認めません。
また孤児はいつ孤児としての権利を断たれるのかあなたは私に尋ねましたが
それは彼が結婚適齢期に達してまた精神的確立が彼に見られそれで彼の財産が彼に戻されたときに彼の孤児としての権利は終ります。
またアッラーの使徒は多神教徒の子供を一人でも殺しましたかとあなたは尋ねましたが、アッラーの使徒は彼らを一人も殺しませんでした。
あなたも彼らを一人でも殺してはなりません。
もしあなたがハディルが殺した子供について彼が事前に知っていたことをあなたが知ることが出来るならば別です。
また戦争に参加した女性と奴隷に(戦利品の分け前の)定められた割合があるかどうか尋ねましたが彼と披女らには定められた割合はありません。
しかし人々の戦利品の中から褒賞として何がしかの物が与えられます。
同様のハディースがヤズィード・ビン・フルムズによって別の伝承者経路を経て伝えられている。
しかしここでは前述のハディースほど完全ではない。
ウンム・アティーヤ・アンサーリーは次のように伝えている
私はアッラーの使徒と一緒に七回の聖戦に参加した。
私は彼らの陣営の後ろにいて彼らのために食事を作り怪我人の手当を行い病人の看病をしていた。
同様のハディースがヒシャーム・ビン・ハッサーンによって別の伝承者経路を経て伝えられている。